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子供ヘイト [見聞]

【こんなことを見聞きしたシリーズその6】

 つい先月のこと。
 駅ビルの二階から階段を降りようとしていたとき、階段横のエスカレーターから女性が一人昇ってきた。二十代後半から三十代くらいの、やや整った顔立ちだが少し派手な化粧で硬い表情をしている。そして少し間をおいて五歳くらいの男の子が同様に昇りのエスカレーターから姿を現した。
 私はその男の子を横目に、ああ親子なのかなと思いながら、階段を降りていく。しかし母親と思しき女性と同じようにその子もあまり元気な様子には見えず、また二人が距離を置いていたことに若干の違和感を覚えつつ降りていると、背後の階上から女性のヒステリックな声が聞こえた。

「あーもう、なんであんたは歩かないで立ったままなの! ほんとにもう、邪魔なんだよ、あー!」

 思わずふり返ったら、やはりさっきの女性だった。男の子の姿は下からの角度では見えなかった。
 状況からして、エスカレーターに乗って歩かずにじっとして昇っていくことを、男の子は理不尽にも痛罵されているのであろうと思われた。急ぎの用があるためにのんびりしている子供に苛ついているのかというとそうでもなく、どこかへ足を進めようと急かしている様子ではない。
 女性の言葉の前半部は、その時の気分によってはつい吐いてしまうこともあるだろう。しかし、「邪魔なんだよ」の言葉はとくに吐き捨てるような感じで嫌悪感に満ちており、最後の「あー!」も抑えきれない憤懣の醜い爆発だった。
 彼女がいる場所は大手スーパーの入り口近くで、普段は駅改札からそのまま流れてくる客が多い。そのときは人足が途絶えていた時間帯だったが、決して付近に人がいないわけではない。そんな中での出来事に驚きつつ、邪魔なんだよと嫌悪感丸出しの罵声を幼い子供に浴びせる女性の心情に慄然とし、そして罵られている男の子の心の内を思い、暗澹たる気持ちで家路についた。
 
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学歴と常識 [見聞]

【こんなことを見聞きしたシリーズその5】

 もうずいぶんと昔、大学一年生のときの話。
 うちの学生はみな泳げなければならない、と余計なことを創立者が主張したため、一年の時だけ全員が水泳の授業を受けることになる。それで水泳パンツ姿でプールサイドにみなでぼんやり立っていたときのこと。
 近くには見知らぬ学生たちしかいなかったが、少し話をし、出身地を聞かれたので「○○県だ」と九州の県名を答えた。それからすぐに列で前に進むことになってプールサイドを歩いていると、前にいるその学生二人が次のような会話を始めた。

 学A「○○県って、四国だよな?」
 学B「んー、いや、九州じゃないかな?」
 学A「ええ、そうかあ? 四国じゃなかったかな」
 学B「たしか九州だよ」
 学A「ああそうか、九州かあ」

 前の学生二人はもう私との会話はしていないし、そのままで二人の会話は何事もなく終わったので、冗談を言っているような気配はまったくない。
 九州と四国に帰属する県を把握していない大学生。念のために書いておくが、決して底辺の大学ではない。というより、その対極にあると知られている大学の筈だ。
 やがて、内部進学者のなかにはまったく勉強していないのも多いらしく、授業について来られなくて留年する者のほとんどがエスカレーター式で大学生になった者たちだと知り、そういうことだったのかと納得した。一般教養の英語の教科書が平均的な学力の高校生でも読めるようなレベルで、何のための入試だったのかと不思議に思っていたのだが、そのわけも同時に了解した。内部進学者のための措置だったわけだ。そしてそれでも単位を落とす者がいる。
 内部進学者にはもちろんピンからキリまでいて、優秀な人間は当たり前にいるが、駄目なやつは学力以前の常識すらわきまえていないほど、とことん駄目なのである。しかし駄目でもたいていは卒業できるもので、しかも家が裕福だったりするからコネで会社にも入れる。かつて入社試験で名前を書いただけと噂される某著名人の息子が犯罪で捕まり話題となったが、経歴としては普通に大学を出て普通に社会人になっていたりする。
 また一般の入試試験とは違う形式で合否を決定する新たな学部もでき、その学部の学生や出身者の無知ぶりが次第に世間へと知られている現状のようでもある。内実を知らなければ学部別の事情や内部進学の事情を考慮することもなく、あの大学の出身者は世間一般の評価とは違って、実は馬鹿なんじゃないのか?と思うことだろう。
 内実を知っていても、九州と四国の県の区別ができない人間と同じ大学卒になっていることに対して、やはり納得いかない気持ちを抑えることは難しい。

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気の先生 [見聞]

【こんなことを見聞きしたシリーズその4】

 十数年前の話。ある集まりに、「気」の一種の技法や治療を指導しているという女性が参加した。その世界ではよく知られた技法である。そして会が終わって打ち上げのときのこと。
 興味があったので、まずは話のとっかかりとして、気とはどういうものなのか、気を感じるというのはどのような感覚なのか、と質問してみた。するとその答は、何かを見たり触ったりしていると、気持ちいいとか悪いとか感じるでしょう、それが気です、というものだった。
 素人にも分かりやすい表現をしているのかなと思い、次に少し突っ込んだ質問をしてみた。
 たとえばここに一台の車があるとする。Aさんはかつて同じ車種にはねられ怪我をしたことがあって、今でもその恐怖からこの車を見かけると嫌な気分になる。そういった経験に由来する感覚と、その車そのものが発している気との違いは、いったいどのように区別しているのか?
 これに対する返事が次のようなものだった。

 気の先生「はあ、なんか難しい哲学的なことを考えるんですねえ。よくわかりません」

 そしてその場からさっと離れていった。上記のような区別を説明できない、もしくは考えたこともなく哲学的(!)な問題だとするような人でも教室を開いて「先生」として気を教えているという現実に、唖然とした。他にこのような人たちと話をしたことはあまりないのだが、この程度の認識しかなくて、伝授された技法を用いるだけで、本当に「気」を操っているのだろうか。何だかとてもあやふやでいい加減な感覚としか言いようがないのだが。

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悪い意味での国粋 [見聞]

【こんなことを見聞きしたシリーズその3】

 十五年ほど前のことか。山手線の電車の中でのこと。
 自分は吊革につかまって立っていた。隣には女子高生らしき二人が立っていて、その前の座席には東南アジア系の外国人が二人坐り、母国語と思われる言語で会話している。
 隣の女子高生Aが女子高生Bに向かって、急に腹立たしげな口調で声高に話し始めた。

 A「てかさー、日本語しゃべろよって思わねー?」
 B「なに?」
 A「日本にいるんだから、日本語使えばいいじゃん」
 B「ん?」
 A「日本にいるんだから外人でも日本語使うべきでしょ」
 B「んー、でもさあ、○○ちゃんが○○ちゃんたちとアメリカに行ったら、○○ちゃんとは英語じゃなくて日本語で喋るでしょ?」
 A「でもさー、(この辺り聞き取れず)じゃん?」
 B「うーん、そうかなあ」

 あまりにも愚かな主張に、座っている外国人が日本語を理解できなければいいと願いつつ、見ると、外国人は二人とも会話を止め、気まずそうに俯いていた。
 どうやら馬鹿な女子高生の言葉を理解していたようだ。
「ああ、もう、本当にごめんなさい…」と心の中で謝ることしか自分にはできなかったのは、情けないけれども、仕方がない。

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昨日は人の身 [見聞]

【こんなことを見聞きしたシリーズその2】

 つい先日のこと。買い物に行こうと玄関から出た直後。
 うちはアパートの二階なのだが、一階の部屋の中で住人の男が何やら叫んでいる。
 どうやら来訪した誰かと扉越しに言い争っているようで、すぐに内容は理解できた。

 住「こちらが悪いことはわかってますよ!」
 客「はい」
 住「返済が遅れているのは謝りますよ! でもねっ、毎日毎日来なくていいでしょう! ほんとにもう、いい加減にしてくれよ!」
 客「はい、じゃまた来まーす」

 こちらは仕事柄、この築四十年の小さな木造アパートに引き籠もっている身ながらも、取り立ての男が下の階に頻繁に来ていたらしいことはまったくわからなかった。
 これまで静かな攻防が続いていた中でついに爆発してしまった感情的な叫びを、たまたま外に出てより鮮明に聞いてしまったということか。
 それにしても。
 明日は我が身だ。
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セクハラ専務 [見聞]

【こんなことを見聞きしたシリーズその1】

 もう十年以上も昔の話。今は潰れてしまった近所の本屋さんでの出来事。
 ぼんやりと本を眺めていたら、すぐ近くで本屋の女主人(詳しくは知らないが経営側のおばさん)とアルバイトの女の子の会話が聞こえてきた。

 主「あら、今日は○○さんは来ないのかしら?」
 ア「さっき連絡があって、もう行きたくないって言ってました」
 主「何かあったのかしらねえ」
 ア「(言いにくそうな口調で)あのう、実は、専務が体を触ってくるのが嫌だからって…」
 主「まあ、そう。専務によく言っておくわ」

 この本屋のおばさんとセクハラ専務は夫婦なのかもしれないが、よくはわからない。
 ただひとつ納得できたのは、この本屋さんでアルバイトの募集をいつも女子学生に限定していた理由だ。その後、たまに男子のバイトの子を見ることもあったのは、専務の発言力が落ちたからだろう。
 ただ、セクハラを知った後のおばさんの台詞は、たいして驚いた感じでもなく、割合に平然としていた。日常茶飯事のことだったのかもしれない。
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