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180万年前の日本 [宗教]

 シュメール王名表なるものに、古代メソポタミアの伝説的な王の名と在位期間が記されている。人類最初の王とされるエリドゥ王アルリムから以下の数代を、ウィキペディアから引いてみると、
 エリドゥ王アルリム、在位28800年間。
 エリドゥ王アラルガル、在位36000年間。
 バド・ティビラ王エンメンルアンナ、在位43200年間。
 バド・ティビラ王エンメンガルアンナ、在位28800年間。
などとあって、一人の王でとてつもない期間を統治していたことになっている。もちろんこれらの年代についてはあくまでも伝説としか捉えようがないものなのだが、似たような記録はこの日本にも残されている。超歴史の文献としてよく引き合いに出される「竹内文書」などという怪しげなものではなく、日本最初の公式な正史、『日本書紀』のことだ。
 神武天皇の即位前紀に、天皇が「天祖の降跡りましてより以逮、今に一百七十九萬二千四百七十餘歳」と語る場面があって、つまり瓊瓊杵尊が地上に降臨したのは今から1792470年ほど前のことだ、というのである。
 この年数が何を意味しているのかはよくわかっていない。本来は『日本書紀』にこのような記述はなかったものを、いつしか誰かの書き込みが反映されて本文のように書き写されてしまったのだともいわれるが、本当のところはわからない。
 そして、この百七十九万年という途轍もない年代は、鎌倉時代に編纂されたと推定される伊勢神宮外宮の文献に、更に具体的に記述されることになる。すなわち『倭姫命世記』によれば、
 瓊瓊杵尊、318543年間。
 火火出見尊、637892年間。
 鵜草葺不合尊、836042年間。
といった治世期間が主張されているのである。
 これは『日本書紀』の百七十九万年余という年数を三代に振り分けたのだと思われるが、それぞれの数字に意味があるのかどうかも、やはり不明である。
 現在に直接つながる古代世界のはじまりを太古の昔に想定するのは、神や英雄の神秘性を深め称える心理として地域に関わらず共通しているのかもしれない。それにしても、アフリカを出て各地に広がっていったホモ・エレクトスという最初の原人の出現が百八十万年ほど前であり、その数字と天孫降臨の時期が一致するのは、面白い偶然といえよう。

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