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知と誤情報 [雑感]

 以前と比べると、様々なメディアにおいて神社や記紀神話について取り上げられる機会が増えた。いわゆるパワースポットなんやらとか日本アゲとかいう流行に乗ってのことだが、それでも相変わらず、政治家が靖國神社に参拝すると、あたかも問題であるかのようにニュースで報じられるという異様なマスコミの姿勢は変わっていない。
 最近はどうだかはわからないが、酷いときには靖國神社に「神道の作法で参拝した」などと殊更に指摘しながらの報道で、そんな当たり前のことすら問題視されていたほどに異様であった。
 それはともかくとして。神社や記紀神話について一般向けの本や雑誌が溢れている現状にもかかわらず、確かな知識はあまり浸透していないように思われる。
 たとえば「ハルチ・ウムチ・ツヅチ」という呪文がある。体操の具志堅選手が自身の力を発揮できる呪文として恩師から教えて貰った言葉で、これを検索すると、記紀神話の海幸彦山幸彦の説話にも登場するなどと説明している記事が多い。しかしこれは正しくない。
 まず『古事記』で山幸彦が授かった呪文は「オボチ・ススチ・マヂチ・ウルチ」で、これは釣り鉤が本来の力を発揮しないように呪う言葉である。そして『日本書紀』では、本文で「マヂチ」、第一の一書で「マヂノモト・ウヱノハジメ・クルシミノモト」、第二の一書で「マヂチ・ホロビチ・オトロヘチ」、第三の一書で「オホヂ・ススノミヂ・マヂチ・ウルケヂ」、第四の一書で「マヂチ・ササマヂチ」とあり、やはりいずれも釣り鉤を駄目にしてしまう呪言だ。言葉が異なるだけでなく、働きそのものがまったく逆なのである。
 具志堅選手が教わったのは、細かな説明は省略するとして、大本教系の呪言らしい。記紀の呪文で多用される「チ」の語は具体的には釣り鉤を意味するが、広い意味では「力」や「霊力」を表し、おそらくは「気」にも通じる語だろう。大本系の呪言ではそのチが満ち溢れるように期待するものとなっているかと思われる。
 一般向けの記紀関連の本はたくさん出ているし、ネットでも確認することは可能なのだから、うろ覚えで説明する前に少し調べてみないとチの持ち腐れである。 

タグ:呪文
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